Q1 エイズワクチンを受けた人はHIVに感染しないですむの?
Q2 エイズワクチンと治療薬はどこが違うの?
Q3 治療薬とエイズワクチンを併用してもいいの?
Q4 エイズワクチンの効力はどのくらい続くの?
Q5 エイズワクチンは危険ではないの?
Q6 HIVに感染していてもエイズワクチンは効くの?
Q7 1種類のエイズワクチンでいろんなウイルスの亜種に対応できるの?
Q8 エイズワクチンをうつ費用はどのくらい?
Q9 エイズワクチンがどうして難しいの?
Q10 世界で開発しているワクチンはどんなものがあるの?
Q11 エイズワクチンの臨床試験ってどうやるの?
Q12 今まで開発されてきたエイズワクチンの系譜は?

Q1 エイズワクチンを受けた人はHIVに感染しないですむの?
  例えば、インフルエンザワクチンを打っても、風邪薬が必要な場合があるように、どんなワクチンにも言えることは、ウイルスの感染を完全に防げるワクチンはありません。ただ、ワクチンを接種しておくとHIVに感染する可能性は低くなりますし、たとえ感染したとしても症状が軽減され、エイズを発症しにくくなります。
Q2 エイズワクチンと治療薬はどこが違うの?
  ワクチンは、自分自身が持っている免疫力を強化して感染を防止、感染しても症状を緩和する等の効果を発揮する薬の一種です。治療薬と違うのは、直接HIVの増殖を抑えるわけではなく、自分の免疫力を強化することによって、ウイルス感染を制御するところです。
Q3 治療薬とエイズワクチンを併用してもいいの?
   HIVに感染してしまった人に対する治療ワクチンとして、ワクチンと治療薬との併用を試している研究グループがいますが、現時点ではまだ開発途上です。ただ、今後これが成功すれば、治療費の軽減につながる可能性があります。
Q4 エイズワクチンの効力はどのくらい続くの?
   ワクチンの種類や投与方法、用いるベクターの性質によって異なります。蛋白質エイズワクチンQ&A抗原 や複製できないベクターワクチンの場合は半年から長くて1年程度ですが、人の体内で複製、増殖できるベクターの場合はもっと長期にわたって効力が続きます。AVDAの候補ワクチンであるBCGの場合は、一回の投与で少なくとも数年は効果が持続すると考えられています。
Q5 エイズワクチンは危険ではないの?
   現在開発中のエイズ候補ワクチンはほとんど、遺伝子組み換え技術を使ってHIV遺伝子の一部を他のベクターに組み込んだ遺伝子組み換えベクターワクチンで、感染力のあるHIVそのものを使っているわけではありません。従って、ワクチンをうつことによってHIVに感染することはありません。用いるベクターの安全性が確保されていれば、危険ではありません。
Q6 HIVに感染していてもエイズワクチンは効くの?
  現在のエイズ候補ワクチンで、HIV感染者に接種して症状を軽減できる治療ワクチンとしての効果が証明されたものはありませんが、開発研究は行われています。
Q7 1種類のエイズワクチンでいろんなウイルスの亜種に対応できるの?
  難しいと考えられています。ただ、HIV亜種の流行には、例えば東南アジアはE型、アフリカはC型、欧米はB型が多いというように地域性があります。それぞれの地域で流行している亜種の遺伝子を用いてワクチンを構築し、その地域で実用化するというのが、現在一般にとられている方法です。
Q8 エイズワクチンをうつ費用はどのくらい?
  開発にかかった費用と製造費用などをもとに計算されますが、現時点では実際に開発が完了していないので答えられません。
Q9 エイズワクチンがどうして難しいの?
  HIVは大変進化が速いウイルスです。人に感染して複製を重ねるごとに遺伝子の配列が変化し、特に抗体と反応する表面抗原の構造を変えてしまいます。そのため、あるHIV分離株を基にワクチンを作っても、他の分離株には効果がないということが起きてしまいます。また通常ウイルスに対するワクチン開発に用いられる弱毒生ワクチンという手法が使えません。HIVが変化しやすいため、強毒化してしまうおそれがあるからです。このようなHIVの特異な性質がワクチン開発を困難なものにしています。
Q10 世界で開発しているワクチンはどんなものがあるの?
  組み換えカナリーポックスウイルスで初回免疫(プライム)し、遺伝子組み換えGP120タンパク質で追加免疫(ブースト)するというプライムブーストワクチンが第3相臨床試験に入っています。またDNAワクチンとワクシニアウイルスMVA株、あるいはアデノウイルスのプライムブーストワクチンが第2相試験の段階にあります。その他、10種以上の候補ワクチンが第1相試験に入っています。
* 開発中(臨床試験中)の主要な候補ワクチンの検索は以下のHPで可能です。
http://www.iavireport.org/trialsdb/
Q11 エイズワクチンの臨床試験ってどうやるの?
  まず20人から100人程度の健常人に接種して、小規模な安全性試験免疫原性試験をおこないます。これが第1相、第2相臨床試験です。安全性に問題がなく、しかもHIVに対する免疫誘導能が十分に認められると、第3相の有効性試験に進みます。有効性を確かめるためには、ワクチンを接種したグループと接種しなかったグループを追跡調査し、HIV感染率を比較して統計的に処理した結果、接種グループの感染率が低ければ有効と判定できます。ですから、この試験はHIV感染率が高い地域やポピュレーションでしかできません。現在タイでは16,000人という大規模な第3相試験が行われています。
Q12 今まで開発されてきたエイズワクチンの系譜は?
  これまでに開発されて来たエイズワクチンは、安全性の面から、HIVのある部分の抗原を使ったコンポーネントワクチンや、その部分の抗原遺伝子をベクターに組み込んだ組み換えベクターワクチンが主流でした。前者の代表例が、組み換えGP120ワクチンですが、第3相臨床試験の結果、2003年に有効性なしと結論されてしまいました。現在は、後者の組み換えベクターワクチンの組み合わせで、細胞性免疫をより有効に誘導し、HIVに感染してしまった細胞を素早く排除してしまおうというコンセプトのワクチンが数多く開発途上にあり、第2相試験に移行したものがあります。