HIV(Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウイルス)に感染して起こる病気で、このウイルスに感染すると、身体を病気から守る免疫系が破壊されて、徐々に身体の抵抗力が低下し、様々な感染症や悪性腫瘍にかかり、死に至らしめるものです。

 HIVは血液や体液を介して感染しますが、すぐには症状が現れません。しかし、性行為などによって他人にウイルスがうつる状態にある期間が長く続きます。この期間を潜伏期間といい、短くて6カ月位から長い場合は15年以上の場合もあります。

 潜伏期間を過ぎると、身体の抵抗力が弱まり様々な病気にかかります。この発病した状態をエイズAIDS(Acquired immunodeficiency syndrome:後天性免疫不全症候群)と言いますが、一旦発病してしまうと、完全にエイズを治す決定的な治療薬は現在未だ開発されていないため、重篤な病気となります。

 このため、現在のところエイズにならないために最も重要なことは、個々人がエイズについて正しい知識を持ち、感染の危険を回避することと、検査によって早期に感染を発見することです。検査結果を知ることにより、他人への二次感染防止ばかりでなく、自分自身にとっても、医師の指導と処方された薬の服用をしながら生活することによりエイズの発病を抑えることが可能となるためです。現在では、発病を抑える色々な薬も開発されており、HIV陽性だからといって、すぐに発病し、命を失うことはなくなりました。ただし、HIVは増殖のたびに変異を起こしやすいウイルスのため抗HIV薬に対して耐性(通常服用していた薬が効かなくなること)を持ちやすく、特に抗HIV薬を1種類だけ、つまり単剤で用いると、耐性をつくりやすいことがわかっています。そこで最近の治療では、作用機序の異なるこれらの薬を組み合わせ、併用することで、耐性をできにくくして、抗ウイルス効果を保つという方法がとられています。

 また、いくら優れた薬でも、飲み忘れや飲み飛ばしがあったりして血中濃度が中途半端だったり、安定しなかったりすると、簡単にウイルスに耐性ができてしまうので、これらの薬をかなり厳密に処方されたとおりに服用することが大切です。

 しかし、既に耐性HIV感染が広がっている等の問題が出てきており、それに対する治療薬開発とのイタチごっこ状態となっています。したがって、現在、抗HIV薬はあるとはいえ、HIV/AIDS問題に関しては個人的にも社会的にも多大な費用負担がかかり、依然として予断を許さない重大な問題であり続けています。

 このように一度感染すると対応が非常に複雑で厄介なHIV/AIDSの薬開発に関しては、まずは感染拡大を防ぐことが最善の解決策であることから、早期の予防ワクチン完成が望まれています。